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Crの破綻で崩れた「T優位」のシナリオ米ビッグスリーもTやNsも「水素力―」を次世代カーの本命に位置づけてきました。
つまり、戦後の日本が営々と蓄えてきた「すり合わせ技術」が、自動車というきわめて大きな産業の中で価値を失い、すっぽりと抜け落ちていくのです。
日本にとって、これほどひどい技術資産の喪失はありません。
ところが、G、Crの破綻で、このシナリオはもろくも崩れます。
Ob政権に後押しされる形で再生を目指すGとCrは、技術的なハードルが低く、日本車に対する競争力を最も早く築くことのできる「電気自動車の開発製造」へと、大きく舵を切りました。
アメリカでスマートグリッドが進み、プラグインでクルマに電気を供給する充電ステーションが建設されるならば、もはや水素カー普及の道は断たれ、一気に電気自動車の時代になだれこむことは必定です。
2009年春に相次いだCr、Gの破綻の結末をにらみながら、最悪の事態になったと先行きを最も悲観したのは、当のGとCrではなく、T、Nsだったのではないでしょうか?行く行く電気自動車にシフトしなくてはならないとしても、水素カーの時代が終わるまで時間を稼ぐことができれば、電気自動車の時代においても自分たちに優位な体制を築くことができるとの読みがあったに違いありません。
既存メーカーとすれば、次世代カーはどうしても「水素カー」でなくてはならなかったのです。
ガソリン自動車から電気自動車へのシフトは、いわば従来の自動車産業をリセットするに等しい効果を生み出します。
Sbの電気自動車ベンチャー企業やBf氏が出資した中国の「BYD」など、世界中の中小電気自動車メーカーが勢いづいているのも、参入障壁が崩れたことの証明と言えるでしょう。
彼らは、クルマがガソリンエンジンと複雑な機構制御を必要としなければ、Tやホンダと技術的に肩を並べるのは簡単だと考えているようです。
企業規模も技術力もまったく見劣りする新興企業が、なぜこれほど自信たっぷりなのでしょうか?G、Crが破綻さえしなければ「水素カー」を世界標準にするシナリオはいまだに健在だったからです。
はっきりと理由を明示してはいませんが、外資系証券などの投資家向けレポートや業界動向調査には、彼らの自信に関連するキーワードが見つかります。
それが「コモディティー化(日用品化)」という言葉です。
日本製であろうと台湾製であろうと、今やパソコンの性能にたいした差はありません。
機能と信頼性がどれも同じならば、できるだけ安いものを買おうとするでしょうし、予算をすべて使うつもりならば、ハードディスクの記憶容量などが多いものを選ぶでしょう。
つまり「このブランドでなくてはならない」というこだわりを見せる人は、少数派になってしまうのです。
こうした商品選択メカニズムを生むのが、「コモディティー化」です。
電気自動車も、将来はヨモディティー化」すると考えられています。
「電気自動車が家電量販店で売られる時代がくる」という表現は、それこそが将来のコモディティー化したクルマを示す、わかりやすいビジョンなのです。
「コモディティ化」とは、商品が日用品化することによって、競争商品間の差別化特性が失われ、主に価格や量を判断基準にして購買行動が起こることを指します。
簡単に説明すると、例えば現代人は、家電製品にほとんどブランド価値を求めなくなりました。
将来的に、電気自動車市場に「コモディティー化」が起こると指摘する投資レポートが、散見されるようになってきたのです。
新興電気自動車メーカーは、電気自動車の「コモディティー化」の流れを読んで自信を深めていますが、一方のTやHd、あるいはGはどうでしょうか?O巨大な企業ピラミッドの崩壊従来のガソリンエンジン車は、エンジンそのものとエンジン制御機構の技術がブラックボックスになっており、完成車メーカー以外は、その内部の機構を知ることはできませんでした。
そのため、系列メーカー以外が、クルマの心臓部にかかわるような「モジュール」を製造することはまず不可能でした。
ちなみに「モジュール」とは、ひとつひとつのパーツではなく、完成品を構成する大きな構成要素のことです。
ところが、電気自動車の動力メカニズムは非常に単純なため、系列メーカーでなくても簡単に「モジュール」を製造できるようになります。
極端な言い方をすれば、自作パソコンのように電気自動車の「モジュール」を電気店で完成車メーカーがこの巨大な企業ピラミッドを簡単に崩されてしまうとしたら、大きな混乱を招きかねません。
しかし、「電気自動車」の台頭で自動車産業の水平分業化はいや応なく進んでいきます。
既存の完成車メーカーは、自分たちの優位性を生かせない「電気自動車」で競争しなければガソリンエンジン車の場合は、完成車メーカーが望む通りの部品が供給されなければ、目指す性能のクルマは作れません。
そのため、完成車メーカーを頂点にした巨大な企業ピラミッドを形成してきました。
完成車メーカーが系列部品メーカーを抱え、系列部品メーカーはさらにパーツ・メーカーを抱え、パーツメーカーは系列の資材調達会社を抱えるという具合にして成り立ってきたのです。
ひとそろい買ってきて、自宅のガレージで組み立てることだって不可能ではありません。
これは、完成車メーカーを頂点とするピラミッド型の生産体制が崩れ、自動車の生産そのものが水平分業化することを示しています。
新興電気自動車メーカーにとってはきわめてやりやすい環境ですが、一方のTやGMにとっては、きわめて厄介な問題だと言えるでしょう。
消費者が価格や量を基準に購入を決めるようになるため、価格競争が激化するのです。
また、パソコンの部品を見ればわかるように、メーカー正規認定品以外の製品が低価格を武器にして市場に参入してくることも十分に考えられます。
構造改革に生き残ったとしても、部品メーカーには、さらなる試練が待ち構えています。
それが「部品価格の値下げ圧力」です。
「コモディティー化」する電気自動車では、部品価格が常に値下げ圧力にさらされるでしょう。
どのようにすれば最大限に生産体制をスリム化できるのかという、たいへん深刻な問題を抱えることになるのは避けられないでしょう。
日本の部品メーカーは、早くからカー・エレクトロニクスに取り組み、同時に海外進出を行ってきたため、アメリカの部品メーカーよりも条件はいいと言われています。
それでも、完成車メーカーの電気自動車モジュールの調達先が広がるにつれ、従来の系列に頼る経営はできなくなります。
既存の自動車産業が、かつて経験したことのない、非常にきびしい構造改革を強いられることはほぼ確実なのです。
その結果、クルマという「熟練技術の塊」とも言うべき製品が、徐々に地上から姿を消していくことになります。
それは日本の部品メーカーが、EUやアメリカのメーカーに「特許使用料の支払い」を行わなくてはならない可能性が生じているということです。
どういうことか説明しましょう。
特許料が日本のメーカーをさらなる窮地へ追いやる!このようなことから、部品メーカーは生産拠点の海外移転を加速させるとともに、徹底した合理化と規格品化を進めるでしょう。
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